top of page
ジル(瑠月)-過去-

ジル 生い立ち1

この地域で有数の檀家を持つお寺の 長男として生まれる

4つ下に双子の妹がいる 早いうちから皆に後継者、後継者と言われ続け

小さい頃は寺の息子というだけで 坊主とあだ名されストレスマックスで育った

元々は穏やかな性格だったが 大人しくしてると好き勝手なことを言われるのを

身に染みて経験した

それ以来、いわゆるヤンキー道まっしぐらである

幼稚園の時に出会った隆の病院の医院長(陣野 竜之介)とは 良い子、悪い子の垣根を超えた仲良しで現在に至る

周りがどう悪く言おうと情に厚い瑠月の良さを陣野は充分理解しており

お互いで世話を焼き合い持ちつ持たれつの関係を 当時から築いている

中3の時、お坊ちゃん学校と揶揄される中高一貫校のくせに 生意気なのが居ると

隆の悪名は他校の瑠月の耳にまで届いていた

瑠月の所の2年が3人、隆にボコられたと泣きついて来た

理由を聞くとそいつらが先に因縁を付けたと聞いて放置しようと思ったが

敵を取りに行った3年2人が返り討ちに合い そのまま頭の所へ案内しろと言われ隆を連れてきた

これは因縁をつけたことを詫びたうえで話し合いなり

しなければと思っていた時、いきなり隆がとびかかってきたので

頭突き一撃で隆をのした 3年の経験の差と持って生まれた身体能力

そして何より身長の高さを生かした反撃だった

そこでむやみやたらにケンカを売るなと諭し 和解の証に一緒にソフトクリームを食べた

それから色々と趣味も合う、男気のある瑠月に隆は陶酔した

高校に進学と同時に親戚の結婚式のために

キッチリ制服を着ていた所をスカウトされ 自由になる金欲しさにモデルデビューを果たす

3年間で人気モデルとなり卒業を機に活動を海外に移そうとしていた矢先

以前トラブルとなった男が麻薬にまで手を染め

俺が落ちぶれたのはお前のせいだと包丁を片手に背後から

切りつけられた 腹の傷も内臓まで達する程深く身動きすらできない時 撮影していたカメラマンが止めに入ってくれたが心臓を一突き

野外での撮影で現場は騒然となった

丁度招待していた隆の父の病院に緊急搬送手術と 何とか一命をとりとめたが数日意識は戻らず

その間に帰らぬ人となったカメラマンに謝罪もお礼も伝えられぬまま荼毘に附された

家族もいるのに自分を庇い犠牲になったカメラマンの事を考えると

何をしても自分のこの気持ちを伝えきれない なにより小さい息子の成長を気にかけていたと家族から聞いた

日頃から末の子は一流のモデルになって父親に写真を撮って欲しいと言ってたらしい

まずは毎月命日に花を届けた

小さい子の誕生日、Xmasには父がすべきだろうプレゼントを贈った

母も兄もこの業界で働いているので 顔を合わす機会があり

自分のせいではないと言ってくれるのが益々申し訳ない気持ちになった

そこで表向きは体の裂傷のせいでモデルを辞め

裏方に回りたいと事務所に頼みメイクアップアーティストになるため

1から勉強した そして尚登が高校2年になったとき偶然を装いスカウトし マネージャーになった

父に写真を撮ってもらうと言うのは叶わないが

一流モデルになると言う尚登の夢はかなえられると思った

今も父の死の一因を背負っていると云事を告げず これからも口にする予定もない

このままずっとそばで尚登を支える覚悟でいた

元々気弱で優しい性格の尚登はこの業界の水が合わず 俯くが多くなり、陣野の病院を紹介した

bottom of page